

- English
- Japanese
シンポジウムのねらい
日本東洋医学会会長
世界的に伝統医学伝統医学の認知度が高まっています。2022年1月には、新たに伝統医学の章を含む国際疾病分類第11改訂版(ICD-11)が発効されました。この章は、日中韓の概念の調和を標準化するもので、長年の議論と努力の成果です。
日本東洋医学会では、これを記念して、現代日本の漢方医学を世界に発信すべく、この国際シンポジウムを企画しました。
わが国には中国・韓国のような伝統医学による医療制度はなく、西洋医学で統一されています。にもかかわらず、日本の医師は国民健康保険の範囲内で、西洋医薬と一緒に漢方薬を処方することができます。調査によれば医師の8割に処方経験があるとの報告もあります。わが国の漢方医学は、東洋医学と西洋医学の融合という点では、制度的にも学問的にも世界のトップレベルにあるのかもしれません。しかし、克服すべき多くの課題もあります。この優れた現代日本の漢方医学を世界に発信してこなかったこともそのひとつです。
2020年1月に始まる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは世界中に広がり、伝統医学にも大きな影響を与えました。中国では国を挙げて軽症から重症の患者まで主な治療薬として中医薬を活用し、ワクチン接種前に鎮圧に成功したと報じました。しかし、西洋医学的にみたエビデンスの不足のため、大部分の国々では伝統医薬を同様に活用しえておりません。
日本においても、感染医療の最前線では中国のような集団的伝統医学は困難でしたが、本学会会員により漢方医学による医療が試みられ、症例報告もなされています。日本東洋医学会主導で臨床研究を推進し、研究資金についても会員より寄付を募るなどの活動をしてきました。
日本東洋医学会は、1950年に発足していますが、これまで国際シンポジウムを開催したことはありません。このパンデミックを機にWEBを用いた講演会が急に発達し、国際的な会議がこれまでよりもより容易になされるようになっています。学術交流をしていく上での種々の国際的障壁が取り除かれつつあります。
本シンポジウムにより多くの研究者、実務者の方々が参加されることを期待しています。